活動報告

平和学を学ぶワークショップを行いました

 212日(金)に、世田谷区上馬地区会館で「平和学とは何か」をテーマにしたワークショップを実施し、都内の大学生ら10人が参加しました。橋本 典子理事が講師をし、平和学の概要や紛争の分析の方法について学びました。内容の要旨を紹介いたします。

 

 


 近年、平和学もしくは、紛争解決学(以下、平和学)が急速に発達し、日本でも注目されるようになりました。平和学の起源は、自由民主主義、社会主義運動、平和運動などの諸運動が結果として第一次世界大戦の勃発に何らの影響も与えなかったことによると言われています。

 

 第二次世界大戦後の1950年代から専門的学術誌の発刊、公的な学術機関の設立などを通じて、明確な学術分野として確立しました。学問としてその基礎を発達させる創設期、創設期からその理論を発達統合させる時期、グローバル化という変遷を経て今に至ります。

 

 現在は、平和学という枠組みで議論される部分は拡大しており、これまでの開発の分野で扱ってきた内容との意欲的統合という動きが、グローバル化によってさらに加速化しています。

 さらには、冷戦後の世界では紛争要因が複雑になり、国家対国家という比較的類似するグループの間の紛争ではなく政府対反政府組織、「国際社会」対「テロ組織」などの異なるグループ間の紛争の非対称性、が出てきたために、既存のフレームワークでは対応することが難しくなったことがあります。

 

 

 ワークショップでは、平和学の変遷や理論的な内容に触れながらの分析手法を学び、また、実際に夫婦喧嘩のシミュレーションをして、紛争分析をしてみました。

 


 質疑応答では、SERVICE FOR PEACEでは文化的な平和を重視する理念を持っていますが、これは平和学の主流から見てどうなのかという質問もありました。欧米の研究者が中心に発展させている平和学ですが、アジアでもガンジーのサティアグラハ「(力を持つものに)真実を語る」ことを実践するための非暴力アヒムサの実践、それを実践する個の内面、自己認識の変化や自己理解への視点も学問的分野にも影響を与えています。

 


<その他のポイント> 

1.平和学の目的である「紛争を何とかする」ことに対する平和学のスタンスいろいろ
 紛争は処理されるべきか、解決されるべきか、それとも転換されるべきか?

 

1.処理されるべき!!
→解決なんてありえない!解決というのは非現実的な考え方。(国際政治のリアリスト的な視点)

2.解決されるべき!!
→解決が見えないのであれば紛争は本当に終わったとはいえない。
 紛争のより深い原因に対して対処がなされて、従来の構造や状態から移行することを意味する。

3.転換されるべき!!
→解決よりも深いレベルでの変化を意味する。文化的な側面に対しての変容が見られる。

 

 

2.国連平和大学の副学長のアマール氏が提唱した分析のモデル

  

C.R. SIPABIO
C = Context : 文脈…ジェンダー、文化、宗教、アイデンティティ 
R = Relationship:


 影響を与える
 

S = Sources/Causes: Sense of identity/ where I belong, Basic Human Needs、Value or Religious 誤った情報、資源の枯渇… 
I = Issue: InterestsSourcesの反映に過ぎない・・・)
P = Parties: 関係団体→紛争を通じて関係性は変わる
A = Attitude: 態度(心理・感情的なもの・・・経験を通じてすでに与えられる・・・人間の行動を変える!!歴史)
B = Behavior: 行動 (心理的な態度に影響を受ける)
I = Intervention: 介入
O = Outcome: 結果

 紛争は動的であり、さまざまな変数を含み時間や状況で変化をしています。紛争分析において、その複雑さを把握することは易しくありませんが、国連平和大学のアマール副学長は上記のモデルを提示し紛争の全体像をとらえることを推奨しています。

 

 上記のモデルでは、全ての紛争には7つの要素、原因・問題・関係団体・態度・行動・介入と結果が存在することを示しています。

 

 それらの7つの要素はジェンダーや文化、宗教などさまざまな文脈と力・パターンなどを内包する関係性との間で影響しあっています。

 これまで紛争アナリストと呼ばれる学者たちはさまざまなモデルを提唱し、その理論の実践も現場で行ってきましたが、紛争の動的な性格をとらえる前に全体を俯瞰するために今回のワークショップではこのモデルを用いました。

 

3.シミュレーションに使った夫婦喧嘩の例

ここは、とある家庭のダイニングルーム。耳を澄ますと・・・なにやらこんな会話が聞こえてきました。

 

進一:「そういえば、この間宝くじで当たったお金60万円、家の補修に当てるからな、いいだろ。」
章子:「何を言っているの、あなた!そのお金で車を買うべきよ。毎日バスで、カズヤを学校に送りに行って帰ってくるだけで、2時間もかかるのよ!本当に重労働なんだから。それに近頃腰も痛いし、車があったらどんなに便利か、前から言っているじゃない。」
進一:「そんなことを言っても、これから大事な選挙を前に家をきれいにしておかないと、家に客が呼べないだろう。お前もそれくらいわかるだろう?」
章子:「あなたはいいわよ、自分用の車を自分だけのためにつかっているから、不便を感じないんだわ。私のことはどうでもいいわけ?」
カズヤ:「わーい、パパ、ママ車買うの?そしたら僕、好きな音楽を聴きながら学校に行けるね。」
進一:「車は買・わ・な・い!i-podでも買ったらいいだろう。それにカズヤ、お前も大きいんだから、ママと一緒じゃなくてももう一人で学校くらい行けるだろう?」
章子:「つい最近、カズの学校の近くで事件があったばっかりじゃない。あのあたりは物騒なのよ。それに、i-podを買ったらいいなんてそんな無責任な言い方をしないで!私はうちの子を物質主義者に育てるつもりはないわ。」

 

章子の父が家に訪れる。
章子:「聞いてよ、おとうさん、進一さんたら本当に自分勝手でひどいのよ。私がカズヤの送り迎えで毎日大変なのを知っているのに、宝くじで当たったお金で家を修築するほうが、送り迎えの車を買うよりもいいって言うのよ!」
章子父:「何なんだね、進一くん。 家だっていまそれほど痛んでいるわけじゃないのに、娘の願いが聞けんのかね?」
進一:「ただ、選挙戦を前に家の修理が必要なだけなのに、なぜわかってくれないのか。」

 

そこに、進一の母が現れる。
進一:「母さん、章子が家の修理よりも車を買うべきだとしつこいんだ。母さんも知っているだろう。今は選挙を控えて大事なときなんだ。その準備が必要なのに、いま車を買おうだなんて!ありえない!」
進一母:「何です、章子さん。あなたは政治家の妻としての自覚がたりないわ。進一にとって、今が大事なときなんだから、それを妻としてわきまえるべきよ。あなたが我慢すればいいだけじゃないの」
章子:「それじゃ、私の状態はどうでもいいというわけなの?」

 

章子の弟、トクミツが参入。
章子:「トクミツ、聞いてよひどいのよ、進一さんが私にこの家を補修する気がないなら、出て行けって言うのよ!」
トクミツ:「なんだとー!姉貴に何を言いやがった・・・」

 

トクミツ、進一の胸倉を掴む・・・・

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