R&D(研究・開発)
Service Learnig (サービス・ラーニング)
Service Learningとは、アメリカで広く行われているコミュニティ・サービス活動と教科学習をつなげた社会貢献型の体験学習のことです。全米のボランティアセンターを統括しているPoints of Light財団の定義によれば、以下のような活動です。
Service Learningとは、青少年が地域ニーズに応えることを通して、同時に学習をする活動である。そのためには、Service Learningに関わる組織は、その学習目標を定め、ふり返りに関わる必要がある。学校と地域組織が協力して、ともにService Learningのプロジェクトやプログラムをより良く発展させて行かなければならない。
Service Learningはクリントン政権下において、連邦政府がイニシアチブを取って、全国的に推進したこともあって、1999年に行われた調査によると、公立高校の46%、公立中学の38%でService Learningを導入しています。また、高校の83%、中学の77%でコミュニティへのサービス活動を企画・運営しています。
Service Learningの具体的なステップとしては、①コミュニティの抱える課題(ニーズ)の調査→②取り組む課題の特定→③特定した課題解決に向け具体的なアプローチを見つけ出すための分析・考察→④計画→⑤実行→⑥ふり返り・評価、というような形を取り、全てのステップにおいて青少年が意思決定に関わることを原則にしています。
これだけ見ても、日本で一般的に行われているボランティア活動体験とはかなりイメージが異なることが分かります。日本では、ボランティア活動や奉仕活動といった「いいこと」をすれば(させれば)、子どもたちの人間性や人格が成長すると(短絡的に)発想しがちです。ですから、ふり返り(リフレクション)もなく、やりっ放しというケースが多くなってしまっているのが現状です。
それに対し、Service Learningは一連のプロセスを通し、社会の問題を見つけ出し、それについて調査し、解決策を考え、実際に実行し、結果をふり返って評価するという問題解決の手法を学ぶという意味合いが強いことが分かります。つまり、「活動」そのものが目的なのではなく、あくまで「問題解決」が目的であるというわけです。
Service Learningに詳しい吉田 里江氏は次のように述べています。
サービス・ラーニングの本質は、アクション・リサーチ的プログラムを通じて青少年が健康な民主主義を体験し、政策決定過程へ参画する経験を積むことで、社会を創造するための「参画」と地域参加民主主義の基盤となる哲学を体得することであり、それは決して社会動員論的な国家統制のもとでの勤労奉仕や強制的な奉仕ではなく、経済的効率性の観点からの安価で生産的な奉仕でもない。クリティカルな市民能力の開発をとおして、米国民主主義の再生を推進していくことがサービス・ラーニングの最も重要な点である。 (『ボランティア白書2003』J 社団法人 日本青年奉仕協会発行)
民主主義はあくまで個人の人権や政治参加を保障するシステムに過ぎず、それを支える精神性(哲学)がないと十分に機能しないということは、歴史や今の日本の現状が立証しています。では、民主主義を支える精神性とは何でしょうか?一言で言えば、「社会の問題(Issue)に対し責任を持つオーナーシップ(当事者意識)」です。
日本では歴史的に「お上意識」が強いと言われていますが、それは「お上への依存(その裏返しとしての批判)」につながり、主体的かつ自発的に社会問題に取り組んでいこうという市民活動はそれほど盛んではありませんし、ただ行政や企業を批判するだけに終始している市民団体が多いのが現状です。
国や地方自治体の借金がここまで増えてしまった現在、これまでのような行政サービスは望むべくもありませんし、市民一人ひとりが社会の問題に対して今まで以上に積極的に責任を持っていく必要があります。それこそが、市民性(シチズンシップ)に他なりません。これからの社会を担う青少年たちが、社会に対するオーナーシップという意味でのシチズンシップを学んでいく上で、Service Learningは非常に重要な体験になります。
また、アメリカの連邦政府や地域コミュニティ、企業などがどのようにService Learningを推進・サポートしているのかという事例を研究しながら、Service Learningを後押しする体制・システム作りをアドボケイト(政策提言)していくことを目指します。




