R&D(研究・開発)

Conflict Resolution (コンフリクト・レゾリューション)

 「Conflict(コンフリクト)」とは、対立・摩擦という意味で、身近な人間関係のトラブルから、大きくは民族・宗教間の対立や紛争などまで含みます。「Conflict Resolution」とは、そのようなコンフリクトを解決していくというような意味です。最近では、「Conflict Management」という言葉も使われます。

 

 日本でコンフリクトといっても、なかなかピンと来ないかもしれませんが、グローバル化が進み、海外で仕事をする機会も増え、日本に住む外国籍の方もどんどん増加しています。これからは、文化的バックグラウンドの違う人たちとコミュニケーションを取らなければならないシュチュエーションは否が応でもでてきます。

 それに伴い、今まで島国というある意味閉鎖された環境の中で、日本人が経験してこなかったようなコンフリクトが生まれてくる可能性がありますし、事実もう生まれています。

 

 例えば、内閣府が行った2003年の調査によると、日本で暮らす外国人の人権擁護について、「日本人と同じように人権を守るべきだ」と回答した人は、54.0%にとどまり(1997年の65.5%から11.5ポイントの減)、過去最低になりました。一方、「日本人と同じ権利をもっていなくても仕方がない」と答えた人は21.8%で、これは過去最高でした。
 外国人の犯罪なども増加していることもあり、日本人の心の中に外国人に対する排他意識というコンフリクトが生まれているのです。

 

 SERVICE FOR PEACE では設立当初から、このConflict Resolutionを重要なミッションの一つとして捉えてきました。そして、イスラエルやフィリピンなどで、ユダヤ人とムスリム、ムスリムとクリスチャンなどの相互交流を促進するプロジェクトを行いました。また、国内でも異世代間や在日外国籍の方とのコミュニケーションを目的としたイベントや活動をコーディネートしてきました。

 


 しかし、そのような一時的な交流が社会に対するインパクトとして結び付けられたのかということを考えると、成果自体がまだまだ不十分であり、Conflict Resolutionのプログラムも確立されているとは言いがたいのが現状です。
 そこで私たちは、Conflict Resolutionのプログラムを一つのパッケージとして整理していくとともに、フィリピンなどのフィールドで今後も実践していきます。以下、私たちがConflict Resolutionを進めていく上でポイントと考えている点を紹介していきます。

 


 SERVICE FOR PEACE の目指すConflict Resolutionは、一言で言えば、Transformation-Based ApproachTBA=トランスフォーメーションに基づいたアプローチ)です。これは対立する双方の妥協点を見つけて調整するのではなく、対立する当事者の価値観やパラダイムを転換(トランスフォーメーション)することによって、コンフリクトを解決していくというものです。著名な平和学者であるヨハン・ガルトゥング氏は、Transcend Method(トランセンド=超越法)という平和的な手法によるコンフリクト・トランスフォーメーションの手法を提示していますが、基本的なコンセプトは同じです。

 


 SERVICE FOR PEACE が重視しているのは以下の4点です。

 

① 一緒にService活動をするというアクティビティをプログラムの中に取り入れる
 これが最も重要なポイントであり、Service for Peaceという名前が示す通り、中心的なビジョンです。今まで行ったワークキャンプでもこのアクティビティの中で大きなブレイクスルーが起こる場合が多いのです。

 

② 相互理解のワークショップなどでは、差異ではなく、共通項・普遍性に注目させる
 Conflict Resolutionに欠かせないのが相互理解であり、多くの場合ワークショップやダイアログ(対話)がその場になります。ここで重要なのは、お互いの差異ではなく共通点にフォーカスすることです。差異の尊重は、共通の基盤の認識した上でなされます。そして、活動中に双方が共有するValue(価値観)を明確にしていきます。

 

③ アプローチする対象はミドル、有識者層、未来のリーダー層など
 SERVICE FOR PEACEが行うConflict Resolutionはあくまで個人と個人の間にフォーカスします。ただ、その成果が個人の属しているコミュニティや社会に影響していくためには、やはりリーダー層にアプローチする必要があります。

 ただ、既存のトップ層は、コンフリクトを煽ることによって利益を得ているというケースも多いので(例えば、フィリピンのミンダナオ島のムスリム・クリスチャンのコンフリクトの背景には、ミンダナオの豊かな地下資源をめぐる利権があると言われています)、有識者や未来のリーダー層としての大学生にターゲットを絞るのも一つの方法でしょう。

 

④ Development(開発)を行っている他のNGOとのコラボレーション
 「金持ちケンカせず」という諺(?)があるように、貧困問題がConflict Resolutionの大きな妨げになっています。単なる精神論だけでは解決しないのが、世界のコンフリクトです。リーダーシップ・トレーニングとともに、貧困問題の解決も並行して行わないと実効性のない自己満足的なConflict Resolutionになる恐れがあります。
 そのため、コミュニティ開発を行っている団体とのパートナーシップが必要になってきます。

 

 SERVICE FOR PEACE ではコンフリクトが解決し、お互いの心理的障壁が取り除かれた状態を「家族」と考えています。
 だからこそ、「世界が一つの家族のようになったとき、平和が実現される」のです。

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