ムスリムとクリスチャンのコンフリクトについて③

2008年 07月 02日

 ノルウェーは、紛争調停国として有名です。

 


 
 中東和平だけでなく、グアテマラ、スリランカ、南スーダンなどで和平プロセスを主導してきました。最近では、国際的なクラスター爆弾禁止でも存在感を見せています。


 それぞれの詳細は割愛しますが、ノルウェー政府の和平プロセスに関する基本的な考え方をノルウェー外務省が発表しています。

 

 

・小国であるノルウェーは、当事者に特定の解決策を強制することはできません。ノルウェーの公正な推進役としての役割の中で、当事者がノルウェーを完全に受け入れるのかどうか、また、彼らが真剣に平和を望んでいるかどうかにすべてかかっています。


・ノルウェーがさまざまな和平プロセスで推進役としての役割を果たすことができるのは、小国であるため、平和的解決に貢献する以外に紛争
の利害関係を持たないからです。


・ノルウェーの和平・調停プロセスにおける努力は、多くの場合、紛争地域におけるノルウェーのNGOの活動に根ざしています。教会のネットワ
ーク、人道的組織、研究機関、労働組合が関連地域の状況に精通し、連絡手段を持っています。こうしてノルウェー当局はNGOが築きあげた知識とネットワークを基盤として活動することができるのです。ノルウェーのNGOは、当事者間に信頼関係を構築しなければならない状況で特に重要な役割を果たし、交渉の土台を築く支援をしてきました。

・広範囲にわたる開発援助やその他の協力活動を通じて、ノルウェーが世界各地で発生している紛争に関わるケースがますます増えています。つまり、ノルウェーは和平や調停プロセスを積極的に支援する立場に立つことが多いということです。一般的にノルウェーは、その貢献によって公平で効果的な役割を果たすことができる国と見られています。


・どのような紛争でも、深い知識と分析が必要です。当事者双方と良い関係を築きあげることは絶対に必要であり、また辛抱強さや長期的な見
通しも欠かせません。ノルウェーは紛争を解決に導くためには、長期的な見通しと状況についての詳細な知識、継続的かつ調和のとれた取り組みが必要であることを認識しています。

 出典:http://www.norway.or.jp/policy/peace/peace/peace.htm

 


 小国というポジションを積極的に活用し、NGOセクターとの協働を戦略的に進めていることが分かります。

 

 さてオスロ合意ですが、当然これは「通称」で、正式名称は「暫定自治の取り決めについての原則宣言」という味も素っ気もないものになります。具体的に何が合意されたのかというと…

 

①イスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)の相互承認。


②イスラエルが占領しているガザ地区とヨルダン川西岸地区に5年間のパレスチナ暫定自治期間をもうけ、そのあいだに最終的な返還条件を決め
る交渉を行なう。

 

 です。

 

 

 つまりイスラエルとPLOの紛争を停止するものでも、パレスチナ人国家の樹立を宣言するものではありません。
 それが、「仇敵ついに和解に握手」(朝日新聞)、「歴史の必然性がドラマを作った」(読売新聞)というようにオーバーに報道されること
によって、過剰に評価された感があります。私もその時、「歴史的な瞬間だ」とすごい興奮したのを覚えています。

 

 
 結局、オスロ合意は、積極的に和平推進していたイスラエルのラビン首相が1995年に暗殺されたこともあり事実上破綻してしまいましたが、
これはノルウェーの責任というよりは、具体的な平和構築にもっていけなかった大国や国連の問題だったと言えそうです。


 また、オスロ合意が破綻してしまったために、「あんなものはマヤカシだったんだ」という言説も現在では多く見られますが、この問題の根
の深さを考えれば、最初から完全な合意ができることこそが幻想なわけです。

 

 


 このオスロ合意に至るプロセスでNGOが大きな役割を果たしたと言われています。

 その中心的な人物が、当時、オスロのNGOであるFAFO(ノルウェー応用社会問題研究所)所長だったテリエ・ラーセンで、国連中東特使も務めていました。彼は、当時の外務大臣のヨハン・ホルストや外務省の官僚たちと協力して、1993年にパレスチナとイスラエルの事務方をオスロ郊外のホテルに集めて、数か月共同生活をしながら、和平案をまとめあげたと言われています。これは、秘密裏に行われ全くリークしなかったので世界が驚きました。

 この辺りのプロセスの詳細について、また調べていきたいと思います。

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