これからの「正義」の話をしよう

2010年 07月 14日

 という本を読みました。副題は「いまを生き延びるための哲学」

 著者は、アメリカの伝統的なコミュニタリアンであるマイケル・サンデル。

 

 これは、ハーバード大学で史上最多の履修者数を誇る講義を書籍化したもので、テーマは「Justice(正義・公正)」です。

 

 

 いや、面白かったです。

 例題の出し方が秀逸で、分かりやすい。基本的にリベラルな私も相当納得させられてしまいました。

 

 一番、自分の中で整理されたと覆ったのが、人間の道徳的責任を3つのカテゴリーに整理しているところです。

 

1 自然的義務:普遍的。合意を必要としない。

2 自発的責務:個別的。合意を必要とする。

3 連帯の責務:個別的。合意を必要としない。

 

 ロールズに代表されるリベラル派の考え方では、責務の生じ方は12だけです。

 1は、例えば「人を殺してはいけない」というような普遍的なルールのことです。サンデルの表現を借りれば、「私があなたを殺さない義務を負うのは、あなたにそう約束した場合だけだと言う者はいないだろう」

 

 2は、賃金と引き換えに何かの役務を提供する仕事に代表される契約によって生じるものです。

 

 

 それに対して、コミュニタリアンは12に加え、3も強調します。

 

 サンデルと並ぶ代表的なコミュニタリアンであるアラスデア・マッキンタイアの言葉が紹介されています。

 

 私は自分の家族や、自分の都市や、自分の部族y、自分の国家の過去からさまざまな負債、遺産、正当な期待、責務を受け継いでいる。それらは私の人生に与えられたものであり、私の道徳的出発点となる。それが私自身の人生に道徳的特性を与えている部分もある。

 

 12だけを根拠にしては、説明できない事象が多すぎるということで、様々な例が出されています。要は、ロールズが言うような「負荷なき自己(the unencumbered self)」は幻想だということですね。

 

 

 当然、リベラル派からの反論もあります。

 典型的なものは、32を脅かす可能性があるということでしょう。

 

 もともと、サンデルが主張するように、リベラル派の政治理論は、政治と法律を道徳的・宗教的なドグマから切り離す(3から2を守る)ための試みとして生まれました。

 

 この辺り、次回もう少し掘り下げてみます。(Aki

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