○○力の氾濫を考える
2009年 03月 10日
一年前くらいから、「○○力」という言葉が氾濫している気がしませんか?
きっかけになったのは、『声に出して読みたい日本語』でブレイクした齋藤 孝・明治大学教授ではないかと、個人的には考えています。この人は、読書力、段取り力、コメント力などがタイトルのいろんな本を出していますよね。
本屋でビジネス書コーナーでは、「○○力を伸ばす」的な本が大流行しています。『察知力』(中村 俊輔)、『鈍感力』(渡辺 淳一)、『老人力』(赤瀬川 原平)、『断る力』(勝間 和代)…と推挙に暇がありません。
実は、一年前もがん日に書いたのですが、さすがに、最近ウザイと思います。
ついでに言うと、3月5日に経済産業省主催の『社会人基礎力育成グランプリ2009』なるものに参加してきました。「社会人基礎力」というのは、経産省が提唱している、仕事していく上で必要なベーシックな力(コンピテンシー)のことで、大きくは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の三つに分かれており、細かくは12の要素で構成されています。
このグランプリは、大学で社会人基礎力育成のためのプログラム(企業とタイアップしたインターンが多い)に参加した学生が、どれだけ自分が成長したかをプレゼンし合うのです。
その趣旨自体は分かるし、学生の発表もいいのですが、何か違和感があるんですよね。
「このご時勢、スキルや能力がないと、就職や仕事で大変ですよ~。あなたは自信ありますか?不安でしょ。だから、あなたにはこの本(プログラム)が必要なんです」と訴えかけられている(マーケティングされている)わけですから。
もちろん、産業・雇用構造の変化で、社会から要請される能力やライフスキルが変わってきているのは事実ですし、ニーズはあるのは間違いありません。既存の学校教育がその変化に対応できていないのは、多くの識者が指摘するところです。
ただ、「あれも、これも」必要というプレッシャーはかえって人(特に若者)を神経質にするんじゃないかとも思います。
本屋で新しい『~力』という本を見つけるたびに、心の中で「ブルータス、お前もカ」と呟いてしまいます。(Aki)
