2つの『感情』
2008年 04月 06日
以前、ある研修で聞いた興味深い話です。
『感情』という言葉を英訳すると、2つの単語があります。
ひとつは"passion"(パッション)。
もうひとつは"emotion"(エモーション)
"passion"の語源は"passive"で、受動的な感情を表します。
例えば、相手に対する思いなどは、これに分類されます。
それに対して"emotion"の語源は、"motion"や"motor"から来ており、能動的な感情を表します。
例えば、試合前に自分で気合いを入れたりするのは、これに分類されます。
前者は「逃れられない」「どうしてもそう思ってしまう」というもの。
恋に落ちるときなどは、大抵の人がそうでしょう。
後者は「その気になる」「意欲を持つ」というもの。
「やる気があればできる」とはよく言うが、確かにそういう経験は誰もがあるでしょう。
私はこの話を聞きながら、自分の決定的な誤りに気付くことができた。
『Inside-Out』という考え方をご存知だろうか?
私は常日頃この考え方を中心に活動しているのだが、この記事を見ている大方の人もご存知でしょう。
しかし知らない方がいるかもしれないので、簡単に説明しておきましょう。
『Inside-Out』とは、語順の通り「内から外へ」という、能動的な考え方のことである。
様々な問題を解決し、何か成功しようとすれば、まず自分自身の内面(インサイド)を変えることから始める。
自分自身の根本的な考え方、人格、動機などを変えることから始める、という考え方のことである。
つまり、「あなたがもし幸せな結婚生活を送りたければ、積極的なエネルギーを生み出し、消極的なエネルギーを消し去る伴侶になる」「もし明るく協調性のある子どもに育って欲しいなら、子供への理解を深め、子どもの視点に立ち、一貫した愛を示す親になる」ということである。
この考え方は文句なく、後者-"emotion"に分類されるだろう。
受け身ではなく、どこまでも自ら変えていこうというのが根本だからだ。
私はこの『Inside-Out』という考え方に出会って以来、常にこれを中心に活動してきた。
しかし私の場合、これを重要視し過ぎた余り、全てをこれに当てはめようとしていたのだ。
つまり、受動的な"passion"という感情の存在を、忘れてしまっていたのだ。
"passion"は一番人間味の出てくる部分である。
時間、空間、対人関係、食べ物、音楽、趣味・・・
こういったものの好き嫌いは、ほとんどが実は"passion"なのである。
「どうしてもそう思ってしまったもの」は、「なぜそう思ってしまったのか」を説明できない。
お肉が大好きな人に「なぜお肉が好きなの?」という質問は、答えられない質問なのである。
恋に落ちた人に「なぜあの人が好きなの?」という質問は、あまり意味のない質問なのである。
誰にでも、受動的な自分と能動的な自分がいる。
そして誰にでも、受動的な自分と能動的な自分が必要なのである。
だからと言って、受動的な自分を賛美していつも流されているだけの人生では、寂しくありませんか?
だからと言って、受動的な自分を否定しながらいつも頑張り続ける人生では、しんどくありませんか?
まずは受動的(消極的)な自分の存在に気付き、その自分を否定せずに認めてあげた上で、「でもここから少しでも能動的(積極的)な自分になれないだろうか」と思うことが、大切なのではないでしょうか。 (黒ネコ)
