小さな備えの積み重ね
2008年 03月 09日
最近、こんな話を耳にしました。それは、13年前の阪神淡路大震災の時のお話ですが、神戸市長田区と西宮市はどちらも震災の大きかった地域ですが、西宮市の火災発生件数は長田区の2倍もありながら、焼失面積は1/60だったそうです。
近隣の都市ですので、消防設備や町並みに大きな差があったわけではないのに、これほどまでに大きな差が出た理由は何だったでしょうか?
大震災が起きたら火災が発生することは誰もが想定します。しかし、さらに水道管が壊れて、消火栓が使えなくなることまで事前に想定するというのは意外に難しいものです。
ところが、西宮市の消防局は、消火栓が使えない場合の準備をしていました。いざという時に消火に使えそうな貯水槽を調べていたのです。すると結構いろいろな所にありました。大きなマンションの大貯水槽。圧延工程で大量の水を使う川崎製鉄所の大貯水槽。車両洗浄用として阪急電車の車庫にある150トンもの受水槽などなど。
さらに、万が一の時に直ぐに取水できるように、必要な器具や延長ホースの設置も申し入れていたようですが、それが震災のわずか一ヶ月前のことだったというから、驚きです。
また、消防車に土嚢を積むというユニークなアイデアも功を奏したそうです。西宮市に流れている川は、いずれも水深が浅く、取水出来ません。それで積んでおいた土嚢を川に放り込み、水深を上げて消火に当たり、見事鎮火されたというケースが多かったそうです。
他にも延焼防止の対策がいろいろと取り組まれていましたが、オーナーシップを持って対策を考えれば、アイデアはいろいろとあるものなのだなあと感心させられました。
ただ、ここまで西宮市消防局を高く上げた後だと言いづらいのですが、消火栓が使えないことを想定した対策というのは、大地震のことを想定したものではなかったのです。
大震災の前年の夏、異常渇水で消火栓が使えないという状況に追い込まれたのが、きっかけで対策を考え始めたのです。
異常渇水という小さな困難に、しっかり対処した結果が、大震災という大きな困難への対策にもなっていたというお話でしたが、いろいろと感じるものがありました。
私たちにとって、ビジョンやミッションへの情熱が生命線ですが、やっていることへの思い入れが、リスクマネジメントへの意識を弱める可能性もあります。何か小さなトラブルが起こった時に、しっかり対処していくという積み重ねが、その団体にとっての大きな財産になるのだなあと思わされたエピソードでした。
(taka)
