生きる力

2008年 03月 06日

今日は、私が好きな本「涙がでるほどいい話」のなかから、1つ紹介したいと思います。

 

二年前にインドを旅行した時、ネパールまでの長距離バスの中で 私は気分が悪くなり、

めまいと吐き気を覚えたために、途中で降りて小さな村に泊まった。

 

その時、バススタンドで四歳くらいの少女に出会った。
彼女は小さいのに物乞いをして生活をしているようだったが、 気分が悪く

うなだれている私の前に座って、自分が物乞いをして手に入れたと思われる

小さなしおれたみかんを一つ、私の手を引っぱってにぎらせ、

「カーオー、カーオー(食べろ、食べろ)」と言う。

私はのどが渇いていたので小さな声で、

「シュックリア(ありがとう)」と言ってみかんをもらった。

 

すると少女はダーッと道の向こうに走って行った。

見ると少女は金持ちそうなおばさんに物乞いをしている。

何回も何回も手を差しのべるが、おばさんはガミガミと何か言って少女を追いはらった。

 

今度少女は、すぐ近くで見ていた男の人に手を差しのべた。

男の人は胸のポケットから硬貨を取り出し、少女の手ににぎらせた。

私は「ああ、もらえてよかったね」と心の中で思った。


お金を手にした少女は、またダーッと走った。

私は少女のくれたみかんで気分が少し楽になっていた。

何やら少女はお茶屋で話しこんでいる。
ずーっと見ているとお茶を負けてくれと頼んでいるらしいのだが、

突然ニコッとこっちを見るとお茶屋からニ杯のチャイを手にして私の所へ走って来た。
「ピーオ(飲みな)」と小さな汚れた手でお茶のコップを熱そうにつかんで差し出した。

 

私はこの時ほどうれしく、涙があふれそうになったことはなかった。

彼女の目は貧しいのにキラキラと光って力強く見えた。

どこの国の人かも知らず、今日食べるものもない自分のわずかな食べ物を、

経済大国から来た大名旅行者に分けてくれた彼女のやさしさを、

今も忘れることはできない。


(kinaco)
                      

 

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