ブックレビュー 『ボランティア白書2007』
2007年 11月 04日
野球ネタが二つ続いたので、ちょっとマジメ系の内容で。
社団法人 日本青年奉仕協会(JYVA)が二年に一回(今年からは毎年出版するようです)、「ボランティア白書」を出版しています。まとまった論文集のようなもので、市民セクターという「業界」の動向を知る上で重宝しています。先日、『ボランティア白書2007』が出たので、早速読んでみました。
今回のテーマは、「社会をかえる営みの価値」。ボランティア活動や市民活動が、社会が抱える課題の背後にある構造的な問題に対して、どのような代案(新しい仕組み)を示すことができるのかということで、「地域通貨」(若干、ブームを過ぎた感はありますが)や「ソーシャル・キャピタル」(横文字を使うと、何か新しいことのような気がしますね)といったテーマでいろんな論文があります。
ちょっと残念だったのは、アット・ランダムに論文が並んでいるだけで、トータル的・総論的な内容がなかったこと。前回の『ボランティア白書2005』では、「ボランティアのシチズンシップ再考」がテーマで、既存のボランティア活動が政治的な色を避けるあまり、政治と必然的に係わらざるを得ない社会変革に対する力を失っているのではないか、という問題提起に非常にインスパイアされたので、今回も期待していたんですけどね。
その中で、「ボランティア活動が、セーフティネット形成や環境保全活動の主体として役割を強化することは重要である。しかし、経済のグローバル化と新自由主義経済が急速に進むなかで、ボランタリー組織を行政や企業の代わりに公共サービスや地域経済の担い手として置き換えるだけあるなら、経済の構造変化に伴う諸問題をむしろ悪化させることになりかねない」という地球環境パートナーシッププラザの川村 研治氏の指摘が印象的でした。
ただ、既存の仕組みに対する代案って何なの?というと、一般の人に対する「教育」と「啓蒙」の必要性を訴えるだけで終わっている感じがします。もちろん、「教育」も「啓蒙」も大切なことですが、一方で具体的な仕組みに対する提案ができる人材がほとんど市民セクターの中にいないというのも現実です。
政府や企業の安上がりな下請けではなく、市民の側から新しい仕組みを提案し、政府や企業とWin-Winの関係を構築できる人材育成こそが急務であると言えるでしょう。(Aki)
